一隅を照らす‐里親支援-

親子のクラスを始めて、5~6年が経つでしょうか。親子であっても、「表現者としては対等」という思いで向き合ってきました。どの親子も同じ作品は一つも生まれません。でも、ふと親子を感じる瞬間があります。それは、血のつながりがあるからなのか、それとも、いつもそばにいて、家庭という下で暮らしているからなのでしょうか。私には、足を踏み入れることができない見えない絆があるように感じています。

この夏、お声をかけてくださったのは、福岡県里親支援機関「OHANA」様。≪OHANA≫とは、ハワイ語で「いろいろな家族」という意味とのこと。福岡県から委託されて里親養育包括支援事業を行う機関で、様々な理由から、生まれた家庭で養育が困難になった子どもや家族を失った子どもたちを、法的には親子関係を結ぶことなく、自分の家庭に引き取って育ててくださる「養育里親」を支援する事業を行っておられます。

こちらで支援されている養育里親の親子さんに「臨床美術」を実施しました。

事前にソーシャルワーカーの方と打ち合わせをしながら進め、当日は支援機関のスタッフ4名にもご参加いただきました。


現場に立ってまず感じたのは、血のつながりを超えた、人が人を愛する上での「寛大な愛」に溢れていたことでした。里子さんだというのを、時折忘れてしまうくらいのぬくもりです。この寛大な愛が、時間をかけて絆を生むのかもしれないと感じました。まだ1歳の里子さんがいましたが、こんなに優しい愛に溢れた里親さんに、ご縁あって育てていただいて本当によかったと感動すらおぼえました。社会や家庭における根深く難しい問題があるけれど、「人間愛」というワードが、ずっと頭から離れませんでした。スタッフの皆さんも控えめで思慮深く、素晴らしい方々でした。鑑賞会では、ガラスのお皿に自分の海色を広げる「シープレート」作品が並び、笑顔が広がって、ほっとしました。

「夫婦でゆっくり集中できてよかった」「子どもも楽しそうに過ごせていたので良かった」等のお声もいただいているそうです。「コロナの状況が落ち着いたら、久留米市全域の里親さんに対象を広げたい」と、ソーシャルワーカーさんが話してくれました。


最近はアトリエで「透かし和紙で作るほおずき」をよく作ります。全国各地で作られる時期ですね。手のひらサイズの小さな作品で、下から光を照らすとほのかに中が透けて提灯のようです。

例え小さな灯りでも、最澄の言葉「一隅を照らす」ような活動ができたらよいなと、改めて感じる素晴らしい機会でした。ご支援のお話をいただきましたOHANAスタッフの皆様に、心よりお礼申し上げます。

アトリエSHO彩

Art for Smile Art for Health Color of Only One

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