今、そしてこれから

みなさま、ご自宅でお元気でお過ごしですか?今日は、私自身が今どのようなことを考えながら、過ごしているかをお伝えします。^^

この世界的なパンデミックにより、今年予定されているワークショップや講座は、自粛もあって、軒並みキャンセルとなっている現状です。中にはこのような状況だからこそ「オンラインでやってみませんか?」というありがたいお声もいただいています。

今は、こうやってネット環境があれば瞬時に配信できる時代です。オンラインのセッションも、今の時代や閉塞した状況を考えれば一考する価値はあります。しかし「臨床美術とは何か?」という問いにどうしても行き着くのです。もしも、普通のお絵かきであれば迷わずというか、すぐにオンライン化していることでしょう。では、お絵かきとの違いは何であるのかをお話してみます。

臨床美術は、臨床美術士×参加者、参加者×参加者、参加者×臨床美術士×参加者として場が成り立っている、私の中で「Human Art 」(ヒューマンアート)なんです。つまり、人と人とがその場(居場所)を共有し、自己表現に没頭し、他者を感じ受け入れ合える、人間愛に満ちた世界なんです。普通のお絵かきであれば、一人でもできます。そして、もう1つの大きな違いは「アートプログラム」にあります。このアートプログラムは、誰もが安心して本格的なアートが楽しめる(脳機能を活性化する)エッセンスがたくさん詰まっています。美術家はもちろん、医師・カウンセラーなどの専門家たちが関わって生み出しています。それを、実施できる技量がある者が臨床美術士です。だから、単にアートプログラムを示せば良いというわけでもありません。これら全てがそろって初めて「臨床美術」と言えるんですね。その臨床美術の場のことをセッションと呼んでいます。

そして、そのセッションをオンラインとライブで実施した場合に何が違うかというと、一番大きいのは、人の「存在感」だと思うのです。

ちょっと想像してみてください。自分が病気になった患者であるとします。1人でいて、体調が悪くて、とても不安な状態です。その時にどこからか遠くで「大丈夫ですよ。」と声がします。はっきりわかりません。次に、目の前に人が現れて、両手をにぎってくれて「大丈夫ですよ。」と声をかけてくれたとします。さぁ、どんな気持ちになるでしょう。きっと、目の前で手をにぎってくれた人の手のぬくもりや、声のおかげで、少しだけほっと安心するのではないでしょうか。

それと同じだと思うのです。オンラインではきっと、目の前にいる人の存在感を感じにくく、ライブに比べ、不安を打ち消し安心感を与えることは難しいだろうと思うのです。そしてまた、1人でここに居るという孤独感に近いものも、どうしてもぬぐえません。オンラインは、全国各地の人と画面上でつながれて、自宅に居て自分以外の人と会話ができるメリットはあります。ただ、人と人との存在感に距離がある点において、臨床美術との大きなズレを感じるのです。人の機微に触れにくく、共鳴した場が生み出すダイナミックな臨場感に欠けるわけです。

では、このまま何もしなくていいのか?というと、やはりそうではありません。今は収束の目途も見えず先行きが不透明です。閉塞感や不安感も感じている状況です。だからこそ、今とこれからはアートの力が必要です。アートは理屈抜きで、人の心を感動させたり、元気付けたりする力があります。音楽もそうですよね。先日、日本フィルの楽団員の方が、オンラインのリモートオケで、各々の自宅からパートを演奏して、オーケストラとして曲を奏でていました。音と音とがまるで願ってたぐり寄せ生まれたような、そんな音色で素直に感動しました。音楽も素晴らしいアートです。じゃあ、音楽と臨床美術の違いって、何だと思いますか?音楽に例えるならば、それぞれの音階やリズムが全く異なっても、1つの音を取りこぼすことなく響き、最後に全体としても美しいメロディになっているというのが臨床美術です。面白いと思いませんか?^^

今は、臨床美術を完全な形でお届けできませんが、どこをどう水準を保ち、オンラインやWeb上で、アートの力をみなさまにお届けしていけるのか、それをこれから考えてホームページでも発信していきたいと思います。1日でも早く、みなさまにアートで笑顔を取り戻してもらえるように。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


アトリエSHO彩 主宰

臨床美術士  菅原 良子 

アトリエSHO彩

Art for Smile Art for Health Color of Only One

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